「高校生の新卒採用」は、戦後から企業の“労働力確保”という役割を社会の中で果たしてきた一方で、前述したような多くの課題も持ち合わせています。さらに、視点を通信制高校に向けると、事態はより深刻です。
近年、子どもの不登校の中でも中学・高校における割合は72.4%と、21万人を超えています※3。その中でも、高校進学後に不登校となった生徒の多くは通信制高校へ編入し、通信制高校に通う生徒は日本全国で20万人を超えています※4。
通信制高校に通う生徒は、何らかのハンディキャップを持ち、“生きづらさ”を抱えているケースも少なくありません。発達障がいの子もいれば、自閉症の子・ヤングケアラーとして踏ん張っている子・外国籍でまだ日本語が流暢ではない子・施設育ちで18歳で住処を失う子など、彼らの抱える課題はさまざまです。
また、対人関係・家庭環境などに問題を抱え、コミュニケーションにハードルを抱える生徒も少なくなく、卒業後の進路として「就職」という道を選ぶ際には、更なる課題が顕在化します。
3出典:「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に対する調査結果」(文部科学省)/※4出典:「学校基本調査(平成元年)」及び「学校基本調査(令和元年)」(文部科学省)