厚生労働省より『令和5年若年者雇用実態調査の概況』が、9月下旬に発表されました。
参考資料:令和5年若年者雇用実態調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf
本調査は、「事業所調査」と「個人調査」があります。事業所側と労働者側の両方から回答を得ることによって、若年労働者の雇用状況や若年者の雇用実態を把握することができます。
本調査対象の若年労働者とは、調査基準日現在で満15~34歳の労働者を指します。
『令和5年若年者雇用実態調査』事業所調査結果の概要
調査実施年の結果や産業別、事業所規模別で比較することで、若年者雇用の実態が見えてきます。労働者に占める若年労働者の割合は低下していることが分かりました。
◆若年労働者がいる事業所の割合
事業所調査によると、令和5年(2023年)10月1日現在で、若年労働者が就業している事業所の割合は73.6%。平成30年(2018年)調査では76.0%、平成25年(2013年)調査では80.7%であったことから、この10年で若年労働者が就業している事業所の割合は7.1ポイント低下していることになります。
5年単位の調査から、年々若年労働者の割合が減っているのが分かります。
◆事業所規模別 若年労働者がいる事業所の割合
1,000名以上の事業所規模になると若年労働者がいる事業所は99.4%、30人~99人の事業所は92.9%、5~29人の事業所になると69.5%です。30人~99人の事業所と比較すると、5~29人の事業所は23.4ポイント低下しています。
◆過去1年間に正社員で採用された産業別若年労働者の割合
過去1年間(令和4年10月~令和5年9月)に、正社員として採用された若年労働者がいた事業所の割合は 33.4%です。産業別に見ると、「金融業,保険業」で56.2%、「情報通信業」で53.1%、「学術研究、専門・技術サービス業」で43.7%の順で高くなっています。
一方で、採用された若年労働者がいなかった産業は、「鉱業・採石業・砂利採取業」で71.3%、「宿泊業、飲食サービス業」で65.8%、「卸売業・小売業」で62.8%となっています。
『令和5年若年者雇用実態調査』若年労働者の採用状況
事業所調査によると、若年正社員の採用選考にあたり、高校生が含まれる新規学卒者の重視した点は以下の結果が出ています。
1位:「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」 79.3%
2位:「コミュニケーション能力」74.8%
3位:「マナー・社会常識」58.6%
上記の結果を見てキャリアbaseの個別就労支援の現場についてお伝えすると、「マナー・社会常識」の点については、受ける企業の業種に合わせて服装や髪型の指導も行っております。例えば、食品を扱う企業である場合は、前髪が目にかからないようピンでとめる工夫や髪の毛全体を見て清潔感があるよう、第三者の視点から改善を伝えることもあります。
また、企業は「コミュニケーション能力」を重視する傾向が高いため、採用選考を受けるまでに、コミュニケーション能力の見られ方や勤労意欲、職業意識などを重点的に、企業側の質問から答えられるよう練習を重ねています。
本調査の結果を受けて、事業所が求める「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」や「コミュニケーション能力」、「マナー・社会常識」は、今後も生徒に寄り添いながらしっかりと伝えていけたらと改めて感じました。
『令和5年若年者雇用実態調査』若年労働者の定着について
事業所調査から、過去1年間(令和4年10月~令和5年9月)に自己都合により退職した若年労働者がいた事業は、40.9%とあります。
一方で、若年正社員の「定着のための対策を行っている」事業所は73.7%。前回(平成 30 年)調査より「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施する事業所割合が大きく増加して職場環境の改善が図られています。
個人調査内の「初めて勤務した会社で現在も働いているかどうか」を見ると、「勤務している」が 55.5%、「勤務していない」が 42.7%となってます。
初めて勤務した会社をやめた理由については、以下の順となっています。
1位:「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」 28.5%
2位:「人間関係がよくなかった」26.4%
3位:「賃金の条件がよくなかった」 21.8%
4位:「仕事が自分に合わない」 21.7%
さらに、勤続期間別に見ると、1年未満の期間では「人間関係がよくなかった」と回答した割合が最も高くなっています。勤続期間が短いほど、「人間関係がよくなかった」の回答が高い傾向です。
・3か月未満:52.3%
・3か月~6か月未満: 40.1%
・6か月~1年未満:37.4%
「人間関係がよくなかった」理由については、実際に働く中で分かってくる問題・課題になるかと推察しますが、ミスマッチを減らすためにも、キャリアbaseでは、これからも応募前の職場見学を推奨しながら選考までにできることを伝えていけたらと思います。
参考資料:厚生労働省令和5年若年者雇用実態調査の概況
P19.表17 性・年齢階級・最終学歴・雇用形態・初めて勤務した会社での勤続期間階級、最終学校
卒業後初めて勤務した会社をやめた主な理由別在学していない若年労働者割合
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_gaikyou.pdf
若年労働者の雇用定着についてキャリアbaseができること
『令和5年若年者雇用実態調査の概況』から、若年労働者が年々減っている状況が分かり、日本の労働問題も垣間見ることができるのではないでしょうか。若手の労働者は、今後も減っていく傾向が高いです。
貴重な若手労働者の雇用が定着できるよう、キャリアbaseの個別就労支援では、一人ひとりが抱える状況や課題について丁寧にヒアリングを重ねながら伴走支援を行っています。
中には公開求人での就職が難しい生徒もいます。その場合は、学校の担任の先生、進路指導の先生とも連携しつつ、ときに企業の採用担当者とコミュニケーションを取りながら、目の前の生徒が採用内定となった働く企業で活躍できるよう可能な限りのサポートをしています。
2024年卒の生徒の個別伴走支援は、10月初旬時点で60名を超えました。中には内定が決まった生徒がいますが、進学か就職か迷っている生徒も多数おり、これからさらに進路変更をする生徒も出てきます。
一人ひとりの話に耳を傾け、誠実かつ丁寧に寄り添った就労支援をこれからも続けていけたらと考えております。
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